2011年02月20日

アイルランドの法人税率・財政収支の推移

気になって作ってみた(出所はEurostatなど)。

Irish.png

両者の相関係数は0.1で殆ど無相関。
ただし、2000年年前後は、法人税率を引き下げることで高成長となり、財政収支は大幅に改善する、という負の相関があった(1999年の欧州通貨統合による低金利+移民の増加により、住宅バブルが発生した影響も出ているけれど。)

財政再建に向かうアイルランドが法人税率を12.5%で維持するのも、pro-growth policyで税収増という思想が色濃く反映されており、単年度ペイゴーに拘るわが国も、一つの参考にするべき?
posted by あうあう at 10:23| Comment(0) | 財政 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月19日

グローバル・インバランス是正のために

今週のEconomistのEconomics Focusが良記事だったので紹介しま(´(ェ)`)

Learning to like inflation
Higher inflation could help to rebalance China’s economy
http://www.economist.com/node/18175493?story_id=18175493

中国のインフレは好ましいという内容でございます。

中国の1月の消費者物価上昇率が前年同月比で4.9%(昨年同月は1.5%)となり、えらいインフレになっていて、一般的な見方としては
「インフレ抑制に対応する金融引き締めで、経済成長に冷水が浴びせられるのではないか((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル」
的な。

ただし、
The recent surge in Chinese inflation has been driven mainly by food prices, but non-food inflation has also risen to 2.6%, its highest rate since the series began in 2001. Wages are increasing at a faster rate.

食料品の影響を除くと同2.6%であり、確かに2001年から計測を始めて以来最も高いのですが、これは賃金上昇を背景にしていると。

そして、、
When wages rise more slowly than productivity, an economy produces more than it can consume, resulting in a current-account surplus. If wages now outpace productivity, workers’ share of the cake will rise, boosting consumption and helping to reduce China’s external surplus.

要するに、



国内生産(Y)のうち、賃金上昇によって消費(C)のシェアが増えれば、貯蓄(S)が減って、ISバランス(S-I)が低下して、純輸出(NX)も減ると^^

また興味深いのが、
Conventional wisdom says that a stronger yuan would reduce China’s current-account surplus. Yet the empirical support for this is weak. In a paper published in 2009, Menzie Chinn of the University of Wisconsin and Shang-Jin Wei of Columbia University examined more than 170 countries over the period 1971-2005*, and found little evidence that countries with flexible exchange rates reduced their current-account imbalances more quickly than countries with more rigid regimes.

つまり、為替レートがフロート制だろうが、固定相場制(あるいはクローリング・ペッグ制など)であろうが、グローバル・インバランスの是正には関係がなく、「経常収支不均衡是正のために人民元切り上げしろ(゚Д゚)ゴルァ!!」という米国の主張はナンセンスだという展開になっております( ´∀`)

そして、
Movements in nominal exchange rates often do not achieve the desired adjustment in real rates because they may be offset by changing domestic prices.For example, the yen’s trade-weighted value is around 150% stronger than it was in 1985. Yet Japan’s current-account surplus remains big because that appreciation has been largely offset by a fall in domestic Japanese wholesale prices, so exporters remain competitive.

円レート増価の影響は、卸売物価の下落で相殺されてるだろう、というお話。まあおっしゃるとおりだけど、急激にレートが変動しているときにこんなこと言うと、経済界くんだりでは間違いなく炎上する言説でわね・・・^^;

結局、
realrate.png
The yuan has risen by only 4% against the dollar since early 2009, yet, according to calculations by The Economist, the yuan’s real exchange rate against the dollar (measured using unit labour costs in industry) has strengthened by 17% (see right-hand chart), because costs in China are rising much faster than in America.


対ドル実質為替レートは、中国内のインフレ(Pの上昇)によってかなり上がっており、名目対ドル元レート(e)があんまり切り上がらなくても、輸出競争力は大分削がれているだろうというね。

とはいえ、
China’s government cannot be complacent about rising prices. It should anchor expectations by setting an explicit inflation target. Interest rates on bank deposits need to be raised in line with inflation to encourage households to keep their money in the bank rather than speculate in property or shares. Otherwise negative real interest rates will inflate asset bubbles. That implies China still needs a more flexible exchange rate so it can lift interest rates while those in America remain low. But a bit more inflation would be welcome as well.

中国政府はだからといって、自己満足するなとして、三つの良質な提言を出しています。
・期待インフレをアンカーさせるために、インフレ・ターゲットを導入せよ。
・資産バブルにならないよう、インフレに対応して預金金利を引き上げよ。
・自由な金融政策を行うためにも、よりフレキシブルな為替レートが必要だ(固定相場制では金融政策の裁量が制限される、「国際金融のトリレンマ」があるため)


良い記事ダッタナー( ;∀;)
シンクタンクのエコノミストだったら、この記事を盗作してレポートを1,2本書いてしまうレベル\(^o^)/
posted by あうあう at 08:48| Comment(0) | 経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月11日

デフレの正体お(´・ω・`)?

最近は税と社会保障の一体改革で非常事態モードにつき、基礎研究不足のためニートブロガー活動できてないのですが、最低週1更新はしたい(`・ω・´)

最新号のEconomistのFinance&Economicsより、
Ending deflation in Japan
An old problem

http://www.economist.com/node/18119075?story_id=18119075

を紹介〜。

概要
日本では、DBJの藻谷参事役が無双しており、著書「デフレの正体」はイラ菅様も読んで「イイハナシダナー(;∀;)」となった。また、デフレの正体が貨幣的要因ではなく、構造的要因であるという話は、浜田宏一らのディスに見舞われてるBOJ筋も「その通りダナー(;∀;)」となっている。


僕も昨年夏ごろ「デフレの正体」を読んで、まあそうだねー的な感じにはなったけども、「イイハナシダナー(;∀;)」には至らず。というのも、斎藤誠先生が言うように、

「(前略)人口動態という、大事だが供給要因の最後方に着座しているものが、最近の経済動向と結びつけて考えられる傾向にこそ問題があるのかもしれない。需要要因と人口動態の間に位置する多くの重要な供給要因が、なかなか政策の表舞台に表れにくいことと表裏一体なのだろう。医療介護、技術革新、研究教育、地域政策、労働市場、環境など重要な供給政策も、総需要政策や雇用政策と位置づけなければ、一歩たりとも前進できない所に政策問題の根っこがあるのかも。」

まさにこういうことだと思いまして・゚・(つ(ェ)`)・゚・。

さらに言えば、人口減少が、本当に足もとのデフレの正体なのかどうかは、ちょっと立ち止まって考える必要。(参事役は「経済学なんてシラネーヨ、現場こそ真実」的なスタンスなので、計量分析や経済モデルの類は一切出てこず、文字面だけで分かった気になってしまう危険。)

というのも、正統的な経済学のフレームワークに従えば、インフレ率(π)って、期待インフレ率(π^e)と需給ギャップ(GDPと潜在GDPの差)と、パラメーターα(>0)から以下のように説明されると思うのです。



いわゆる物価版のフィリップス曲線です。
需給ギャップの改善や、期待インフレ率の上昇によって、インフレ率は上昇します(実証的にもそうです)。

確かに「労働人口の減少は需要(ここで言うY)を押し下げるのでデフレ圧力となる」というのは正しいけれども、「労働人口の減少は、供給制約となり潜在GDPも押し下げる」側面があり、その両者を勘案しないといけないだろうと。
もし、供給制約の効果が需要の減少より強く効いているなら、インフレ圧力になります。

ちなみに以前、野村資本市場研究所は「人口減少の影響は、需要よりも供給サイドの方に強くかかるので、人口減少はインフレ圧力となる」という計量分析をレポートにまとめていました^^(URLリンク無し)

とはいえ、参事役はビジネス的には大成功したのであり、著書は政治家が「日銀デフレ不況」的な宗教から脱し、構造的問題に眼を向けるきっかけになったので、結果的には良かったのではないでしょうか?_?

それにしても、Economistのこの画像はひどいお(´;ω;`)
MIKIMOTOのショーウィンドーを覗いている老婆に、"Don’t just look at it, buy it"って・・・

hidoi.png

posted by あうあう at 17:37| Comment(11) | 経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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