2011年03月19日

経済学のレゾンデートルとは?

記事というよりは、LTCMやリーマンショックみたいな金融危機がある度に、
「経済学はクソの役にも立たないじゃないか」
という批判が噴出するので、大学時代に受けた講義や、読んだ本を基に、頭の整理をしてみた。

経済学のレゾンデートル.jpg

ポイント
・将来予測は経済学の主たる関心ではない(雑誌や新聞で将来の株価、為替レートを予想する人がいるのは、ビジネスでやってるだけで、学問的な動機は無い)。
・一見正しそうに見える政策でも、本当に正しい政策とは限らない。本当に正しい政策をextractする有力なツールが経済学。
posted by あうあう at 00:29| Comment(0) | 経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月18日

税制に関するメモ

英国のオズボーン大蔵大臣(the chancellor of the exchequer)が2期目の財政演説を来週行う予定。
ご案内のとおり、彼の地では、付加価値税(VAT)を20%に上げてインフレ率が4%に達しておりますが、免税対象の食料品がいろいろあったり、税体系が非常に複雑怪奇でございます。

96年にノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・マーリーズは、good tax systemの条件を3つ挙げております。
・it should be progressive
・it should not bias choices over how much to work or what to consume
・it should be simple

そして英国のVATは、上述のとおり、大半の食料や書籍、子供服に課税されないのですが、これが2番目(加えて3番目)の条件にマッチしていない。
つまり、例えば食料でも、課税されるものとそうでないものとの間で、相対価格の歪み生じるため、家計の消費行動を歪めてしまう(価格のシグナル効果が崩れるため、経済活動における正しい意思決定が阻害される)。

では、どうしたら良いかと言えば、変な免税品はやめて一律課税。
そうすれば税収が増えるので、低所得者への直接補助をやる。すると、低所得者の予算制約が緩むので、変な免税品があったころよりも消費できる選択肢が増えて効用upと。
うーむ。

日本の消費税上げ論議でも、必需品は低率にすれば良いんじゃないかという議論がありましたが、
その必需品が一体何であるかは、消費者が決めることで、国が決めること自体、経済学的に違和感がとても強い(また、時代によっても少しずつ変わるだろう)。
やはり、納税者番号制度をインフラとして早期に整備して、正確な所得捕捉を行い、その上で直接補助を行うのが正統的な再分配政策だと思います。
そういう意味では、給付付き税額控除、ベーシックインカム、あるいは負の所得税と呼ばれる一連のアイディアの導入も、大いに検討に値するでしょう(`・ω・´)

(参考文献)
The Economist(Mar 17th 2011)"Osborne's chance"
鈴木亘 "社会保障の「不都合な真実」"
posted by あうあう at 23:57| Comment(0) | 財政 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月08日

バーゼル委論文とFSA&BOJの反抗

昨年12月にDBJと東大が共催した 「金融システムはどこに向かうのか」というパネルディスカッションで、
金融庁の氷見野参事官が

「バーゼル委から『自己資本比率を1%上げると、金融危機の生起確率がどの程度減って、マクロ経済は全体としてこれだけ得する』みたいな論文が出て、どんどん規制強化的になりそうだったので、金融庁と日銀で慌てて軌道修正を図った。」

という旨のことをポロっと言っていて、「なんか興味深いな、いつか読もう」と思ったまま、3月になってしまった訳ですが、
本日、FSBのページでそれらしき論文を見つけて、点と線がスゥーッっと繋がった感じになって、非常に気分が良かったです。はい。

論文
"An assessment of the long-term economic impact of stronger capital and liquidity requirements"
http://www.financialstabilityboard.org/publications/r_100818a.pdf?frames=0

上記論文のTable8です(画像掲載)

bis.png

簡単に言ってしまうと、自己資本比率を○%にしたときの、金融危機回避のベネフィットと金融機関の貸出抑制等によるコストを比較衡量した、費用便益分析となっております。

例えば、下段の"Liquidity requirement met"(流動性比率規制を満たした場合のケース)を見ると、一番右の列から、金融危機のコストを対GDP158%と見積もった"large permanent effect"、19%と見積もった"no permanent effect"、63%とした"moderate permanent effect"となっており、中心的なシナリオは"moderate"ケースとなっています。

そして自己資本比率は、"large"のケースでは上げれば上げるほど良く(発散状態)、"moderate"は13%、"no"で9%が最適となります。
金融庁・日銀が軌道修正を図った結果が、まさにこの"moderate"(&"no")のケースの追加であると推測されましょう。

それにしても、バーゼルIIIは、非常に科学的というか計量経済学的な分析がかなり精緻にされていて、まあ今後の展開に期待という感じでございます。

ご参考
金融危機後のマクロ経済学 (加藤涼 日本銀行金融研究所企画役)
http://globe.asahi.com/worldeconmy/100906/01_01.html
posted by あうあう at 20:43| Comment(1) | 金融 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。