2012年06月29日

日本の本当の豊かさ

4月の文藝春秋に発表された「新・日本の自殺」は、非常にペシミスティックに、わが国経済の行く末を小説仕立てで描いております。
http://gekkan.bunshun.jp/articles/-/333

また、巷間で話題の「グローバル人材」という言葉も、ポジティブな意味では、「わが国の人材競争力を高め、それを経済成長に繋げていこう」という話なんでしょうが、悪い意味で言えば、「日本の将来を悲観し、海外へ脱出できる人材」というニュアンスもあるのかもしれません。

一部の知識人や政治家がしばしば、「米国では〜」「インドでは〜」という枕詞を多用するのも、このような、ちょっと自虐的な香りがします(冨山和彦はこれを「ではのかみ(出羽守)」と皮肉っていましたね。)

ただ見ようによっては、現時点での日本の豊かさのレベルは、悪くないどころか、世界一だったりするのではないかという話を今号のEconomistから。

The real wealth of nations
http://www.economist.com/node/21557732
20120630_FNC496.png

これは国連が開発したInclusive Wealthという指標で、国の豊かさをフローのGDPだけでなく、ストックも勘案して測ったらどうなるかという話でございます。
ストックは、
1.physical capital (機械・建物・インフラ等)
2.human capital (国民の教育・技術水準等)
3.natural capital (土地、森林、化石燃料等)
の3種類を含みます。

すると、図表でお示しする通り、日本は既にGDPでは中国に抜かれておりますが、Inclusive Wealthではダブルスコアで勝っています。(その額55.1兆ドル(約4,380兆円))。さらに、per capitaで見ると、米国を抜いて世界一となっています。

なるほど同記事で指摘の通り、GDPのみで国の豊かさを測るというのは、まさにバランスシートを見ずに、損益計算書だけで企業価値を判断するような所業に近いのかもしれません。

また、ストックにおけるnatural capitalには、綺麗な水や空気、生物多様性といった市場価格で評価できない要素は含んでおりません。日本は自然の美しさについても、やはり高い競争力を有していると思われますので、これらを加味したとしても、Japan as No.1の座は変わらないのではないでしょうか。

ただ、現時点で日本が世界一豊かな国であったとしても、現状に甘んじ、成長を放棄することとなれば、ストックは摩耗し、国民生活の豊かさは次第に失われてまいります。

そうならないためにも、成長と財政再建を同時に実現していかなければなりません。当ブログとしては、一体改革関連法案の早期成立を切に望むものであります。
posted by あうあう at 20:37| Comment(0) | 経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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