2011年05月17日

明示的財政ルールの実効性

今回は久しぶりに財政ネタ(`・ω・´)

わが国では昨年、「財政運営戦略」ちゅーのが策定されて、
中期財政フレームとして、一般歳出やら新規国債発行額に上限を設けた訳ですが、(この日のエントリー参照
今般の3月11日の地震により、中期財政フレームは一瞬で崩壊した訳でございます。

※4兆円規模の財政出動を行う第一次補正予算は、予算の組み替えで対応できたため、新規国債発行は免れた訳ですが、第2次は10兆円規模!?と予想されており、補正後の2011年度予算における国債発行額は前年度の44兆円を大幅に上回る見通しでございます。

そんな訳で、こんないとも簡単にbreachされちゃう財政フレームにコミットすることって、意味あんの?!っていう問題意識に答える良質な研究を紹介します:*・゜(n'∀')η *・゜結論から言えば、「破られる規則であっても、無いよりはマシ」のようです。


IMFの2009年の研究によると、1980年から現在に到るまでの政府債務残高の削減額について、
財政ルールが
ある国:対GDP比平均30%
無い国:対GDP比平均20%
と、かなり有意な差異を見いだせるそうです。

プライマリー・バランスについても、財政ルールを採用した国は、導入後の3年間で、
財政ルールを設定しなかった国に比べ、7倍の赤字削減に成功してるとのこと。

ただし、こうした財政ルールが、政府にコミットメントを守るための裏工作のインセンティブを与えることは容易に想像がつきます。
例えば、日本で言えば、単年度ペイゴーを守ると言いつつ、年金財源に鉄建剰余金を転用したり(そして、最終的にこれは第一次補正の財源に再転用された)、
欧州のある国で言えば、財政赤字のファイナンスを、オフバラ取引でやってしまったりしてる(これをやると、統計上の財政赤字が減る)ようですウワァァ-----。゚(゚´Д`゚)゚。-----ン!!!!

とはいえ、やはり何かしらの目標を設けてコミットするのは大事です。
中期財政フレームがあったお陰で、歪な裏工作があったといえども、2011年度当初予算案では国債増発が回避できたわけですから。

それでもなお、僕は財政運営戦略で、ペイ・アズ・ユー・ゴー原則を、単年度で厳格に運用しようとしているのには違和感を感じます。

America’s pay-as-you-go rule forced Congress to “pay for” tax and entitlement-spending changes with offsetting budget fixes, so that any new measure would be deficit-neutral over five and ten years. rule forced Congress to “pay for” tax and entitlement-spending changes with offsetting budget fixes, so that any new measure would be deficit-neutral over five and ten years.
米国の例を出すのもアレですが、ペイゴー原則を複数年度で柔軟に運用できるようにしないから、年金も社会保障も何も決められなくなっちゃうんじゃないでしょうか?

(今般の震災でオジャンになった)税制改正に関しても、硬直的な財政ルールの厳格運用により、法人税減税がネット減税にならなかったことで、日本政府に成長への確固たる意志が無いことを、国際社会に発信してしまったのではないでしょうか。

政府・民主党の一部では、「法人税減税は見送り、しかし課税ベース拡大だけは残す」、といった超絶アンチビジネスな野蛮な議論がなされていると、風の噂で聞いております。いやはや(´・ω・`)


<参考文献>
Ties that sometimes bind
The Economist(May 12th, 2011)
http://www.economist.com/node/18679299?story_id=18679299
posted by あうあう at 00:14| Comment(0) | 財政 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。