2011年11月24日

[書評]日本破綻を防ぐ2つのプラン

日本破綻を防ぐ2つのプラン (日経プレミアシリーズ) [新書] / 小黒 一正, 小林 慶一郎 (著); 日本経済新聞出版社 (刊)

これもなかなか良かったですよ(*´ω`*)
たまたま、著者のお2人と面識があったので買ってみますた。

本書は、
財政再建を進めるためのプランA・・・小黒一正先生ご担当
財政再建に失敗したときに、ショックを和らげるプランB・・・小林慶一郎先生ご担当
という、面白い構成になってます。

僕も、ちょっと日本の財政再建って無理ゲーなんじゃないかって割とガチで思ってて、
この本はとても現実的な考え方をしていて良かったです(*´ω`*)

内容ですが、前半部のプランAはとても良かったですね。論理も明快でダブりもない。
特に社会保障予算のハード化のアイデアは、BOEなど世界の中央銀行が採用してる「インフレ目標政策」の枠組みを、社会保障にも応用したものであり、面白く読めました。
具体的には、
1.社会保障費を一般会計予算から切り離す。
2.政府は、社会保障給付水準とそれを賄うベース財源を決める(これは、例えば5年おきに改定できる)。
3.政府から独立した専門家機関が、給付水準を達成するための税率・保険料率を決定する。
この思想の背景は、「社会保障制度って金融政策と同じぐらい専門性が高いんだから、政治家の政争の具に使われちゃタマランよね〜」っていうことです。
ただ、専門家機関の人事が国会の同意によるものだとしても、果たして税率変更を国会の議決無しでできるような制度が作れるかどうか・・・。
英国の大蔵卿(Chancellor of the Exchequer)は一定の範囲内で勝手にできちゃったりしますが・・・。

後半部のプランBは、ちと残念。
言っていることは分かるけど、同じことを何度も繰り返していて、ややクドかった。
それだけでページ数が大分増えてしまったのではないか。
政府がファンドに出資して、民間資金を呼び込んで外貨資産を買うという発想は良いし、理論的にも財政破綻の影響を緩和するのは間違いないけど、果たして「世界経済への安定に貢献する」というロジックで、このような覆面的な外為介入政策が、国際社会で許されるかどうか。
仮にこれがOKなら、EFSF債を無制限に買うという介入もできるんじゃねとか思ったり。
(↑ただ、日本財政より欧州財政が死ぬほうが早かったらメシがマズイ!)

あと、8月に財務省がぶちあげた「円高対応金融ファシリティー」についての評価を聞きたかった。
趣旨としては、小林先生の目指すものと同じであるが、いかんせんどこまで呼び水効果があるか・・・。
財務省も民間企業向けに説明会とかやってましたが、これ聞いて「ウッヒョー」とか喜んでるビジネスマンの声を僕は未だに聞いたことが無いです・・・。

あともう一点。2000年代中頃までの円安は、量的緩和の効果だったと書いてあるが、本当だろうか。ITバブル崩壊を脱した好調な米国経済や、溝口介入の影響の方が大きいのでは。
(例えば今年3月の震災後、日銀当預は量的緩和期より積み上がったけど、円安になる見込みは全然無い。)

とはいえ、久しぶりに色々頭の体操ができて良い本でした。
特に巻末の補論は簡単な数式で、本文で出てきた色々な理屈を明快に証明していて良かったです。
posted by あうあう at 22:16| Comment(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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