2011年12月27日

税と社会保障の抜本改革

税と社会保障の抜本改革 [単行本] / 西沢 和彦 (著); 日本経済新聞出版社 (刊)

2011年、僕が勧める経済書ナンバー・ワンです。
今まさに、「一体改革素案」の年内とりまとめに向け、政府・与党が動いており、
このタイミングでこの本を読めたのはまさに時宜を得たものでありました。
(本稿、post時点では越年の可能性あり)。

1ページ1ページが本当に勉強になって、
やっぱり、もっとこういう本を積極的に読まなきゃいけないんだなと思った1冊でした(*´ω`*)

SNAで見た、一般政府(中央政府・地方政府・社会保障基金政府)間の所得移転の概況から始まり、
日本の消費税・個人所得課税の仕組み・構造・課題も非常によーく分かりましたし、
年金財政・制度、医療保険制度、子ども手当、給付付き税額控除についても、すごく勉強になりました。

やはり社会保障制度について語る前にですね、個人所得課税における「収入」と「所得」の違いや、
「経費控除」「所得控除」「税額控除」それぞれの段階の違いをちゃんと頭の中に入れて置かないと、
「一体改革」の議論には参加できないだろうと。これはとても重要な出発点です。

それで、僕は今まで勘違いをしていたのですが、
「社会保障・税一体改革」の「一体改革」とは、
「社会保障費削減と増税を一体で行うことで、財政赤字を減らす改革」
という矮小な話ではない(結果的にそうなるとしても)。
それが真に意図するものは、
「社会保険料と税の役割の再構築」

ではないでしょうか。

つまり、社会保険料は、本来、受益と負担のリンクを身上としている。
一方で、税の論理は、所得再分配にあります。

しかし、被用者保険制度からの基礎年金拠出や、高齢者医療制度への所得移転、さらには国費投入によって、社会保険料と税の役割がごっちゃとなってしまい、制度全体におけるキャッシュ・フローも複雑怪奇なものとなっているのが現状であります。
国民の負担受け入れが進まない原因には、そういう理由も大きいのではないでしょうか。

再分配は税でやるべきという原点に立ち返れば、給付付き税額控除の導入こそが、「一体改革」の一丁目一番地の施策であると存じます。
例えば、国民健康保険における保険料負担を、従来のような所得控除ではなく、給付付き税額控除という形で適用するとともに、国保における国庫負担を漸次縮小することで、政府部門間所得移転(中央政府→社会保障基金政府)を、中央政府→家計への直接移転に改めることができます。
こうすることで、キャッシュ・フローが明確となり、税の論理が活きてくる上に、相対的貧困率の改善に対しても大きな効果が期待できます。

もちろん、給付付き税額控除の導入にあたっては、番号制度の導入のみならず、国税庁と市町村の税務行政の統合が、低所得層も含めた所得情報の正確かつ一元的な把握と管理に向けて不可欠となります(国税庁と日本年金機構の統合という、従前の歳入庁構想では不十分)。

繰り返しになりますが、「一体改革」とは、これらの制度全体を抜本的に改めるものであり、
「社会保障給付下げ、税率引き上げ」以上の、重要なインプリケーションを持つ改革であると言えましょう(`・ω・´)


以下は個人的な感想ですが、一体改革において、世代間対立をいたずらに煽るのも多分良くなくて、
政府自らが身を切るべきところ(公務員人件費、議員定数等)は切っていかないと、世論的に増税なんてできないでしょうし、
現役世代についても、給与所得控除の見直しなど、消費増税以外の財源捻出プロセスは、まだございます。
もちろん消費増税は不可避ですが、社会保障制度・税制全体をぐるっと見回してみないことには、真の改革というのは道遠しなのだなあと、自戒を込めて思った次第です(*´∀`*)
posted by あうあう at 20:29| Comment(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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