2012年01月24日

経済成長と財政再建の両立

成長と財政再建の両立は、現政権の基本方針でもあり、長年のテーマでもあります。
もちろん、成長できないことを言い訳に、財政再建を先送りすることもいけませんし、
目先の財政再建で成長を犠牲にすることも良くないです。

いずれにせよ、中長期の財政の持続性について、
マーケットの信認を得ることが大切なのだと思います。

植田和男(東大教授)が「経済教室」に書いたように、
ギリシャをはじめとする欧州の債務危機は、ファンダメンタルズがどうこう以上に、
自己実現的に市場から財政破綻に追い込まれているケースであり、
また、青木浩介(東大准教授)が、同じく「経済教室」に書いたように、
中長期的な財政スタンスの健全化と、課税能力の強化に関するコミットメントを示し、それを民間投資家に理解させることが重要であると存じます。

そういう観点から、成長と財政再建の両立を捉えるのが良いと思います。

今週のロンドン・エコノミストでも、同じような問題意識の記事があったので紹介します。
The hangover(2日酔い)
http://www.economist.com/node/21543139

<要旨>
・米国における家計部門のBS調整は、既に1/3〜半分ぐらい済んでおり、2013年半ばには全て終わる。
・一方、欧州、特に英国は少なくとも10年かかる。
・米国のBS調整が早かったのは、家計が倹約的だからではない。不良債権処理や住宅差し押さえを一気に行ったから。
・英国は、不良債権処理が先送りされており、調整が遅々として進んでいない。
・BS調整のやり方を考える際、住宅バブル崩壊を経験した、1990年代のスウェーデンとフィンランドの事例は示唆的。
・スウェーデンは、先に民間部門のBS調整を終えて、景気が回復してから政府部門のBS調整を行った。
・フィンランドは、いきなり緊縮財政に走って、景気後退をもたらした。
・米国は、スウェーデンの成功事例に近い。
・経済成長なかりせば、政府債務の削減は難しい。今の欧州各国の緊縮財政は、それを例証している。
・欧州はまず、構造改革によって経済の効率性・生産性を高め、投資を呼び込み、成長することが重要。
posted by あうあう at 23:26| Comment(0) | 経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月25日

2011年ベスト経済図書

今年も、日経新聞「エコノミストが選ぶ経済図書ベスト10 」が発表された。
結果は以下のとおり。

tosho2011.jpg

栄えある一位は、
ラインハート&ロゴフの「国家は破綻する」。
まさに貫禄のランクイン。2位とのスコアも圧倒的ですね。
原題の“This Time is Different”というのも、本当に示唆的な言葉で、
昨今の中国不動産バブルや、日本国債バブルも、この一言で正当化されそうな風潮があり、
非常に危惧を抱いております。

他に読んだことがあるのは、
ラジャン「フォールト・ラインズ」
翁邦雄「ポスト・マネタリズムの金融政策」

ぐらいで、今年の読書不足を痛感しました。

個人的には、
佐々木融「弱い日本の強い円」や、
西沢和彦「税と社会保障の抜本改革」
もランクインして良いと思ったのですがね。

昨年の結果に比べると、新書は姿を消し、レベルが上がったのではないかと感じます。

フォールト・ラインズは、邦訳が酷過ぎるだけで内容は素晴らしいので、
訳者さえ真っ当なら2位につけた気はしますね。

昨日、スカイプで色々友人と話して思ったのですが、
Twitterのようなソーシャルメディアの普及によって、経済学者の社会的な影響力は、これからどんどん増していくのではないかと思いました。
大企業・団体が社会に影響力を持つというこれまでの構図はもちろん変わらないと思いますが、
ソフトパワーを持つ個人が、徐々に社会に影響を及ぼしていくようになる。

例えば、もう既に賞味期限が切れた感がありますが、孫正義が「脱原発」をTwitterで唱えただけで、
フォロワーが、クワーッと同調する不気味な社会現象も起こりましたし、
(とはいえ、孫氏はTwitterを活用し、地下鉄に電波が入る動きを作ったので、その点は評価)
そういう意味で、真っ当な経済学者を色々フォローしておくのは、良いのではないかと思います。

ただ、理論・思考の体系が背景にないと、断片的な知識・アイデアの寄せ集めになるのも否めません。
やはり、読書は大切です。
posted by あうあう at 09:39| Comment(0) | 経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月23日

今後の米国経済は如何なるものぞ

早いもので、もう今年も終わりが見えてきましたが、市場の関心はすっかり欧州です。

夏ごろに米国のdebt ceiling引上げ問題で、S&Pの信用格下げが起こり、
金融市場が大きく動揺していたのも、何かこう、過去のことのようにも思われます。

しかしながら、週明け、米国のSuper Committeeの破談というニュースが飛び込んできました。

これは、今夏、debt ceilingを2.1兆ドル引き上げる際、米議会・ホワイトハウスで合意した条件の1つ、
「最低1.2兆ドルの追加削減策を、11月23日までに作成することを、超党派委員会(Joint Select Committee、通称"Super Committee")に義務付ける」
がオジャンになったということでございます(もう1つは、「今後10年で9170億ドルの財政赤字削減」)。

Super Committeeのメンバーは、民主党・共和党の議員からそれぞれ6人ずつ選ばれましたが、
民主党:富裕層増税(所得税中心)を主張。一方、社会保障費の削減には反対。
共和党:富裕層増税に反対。年金や医療保険の大幅な縮減を主張。

という対立点をはらんでおりました。

今後、考えられる影響としては、以下の2点であると存じます。
1.2013年から、1.2兆ドル分を9年かけて、国防費や公共インフラ・教育などの経費から原則一律で強制カットする「トリガー条項」が発動する。
2.財政赤字削減へ向けた政治的意思が弱いと受け止められ、格付会社が信用格付けを引き下げる可能性。
1に関しましては、削減額の半分を国防費カットで賄うので、防衛政策に大きな影響が及ぶため、安全保障に懸念が生じますし、これに抵抗する共和党の議員の間では、同条項を無効化する法案を提出しようとする動きも見られます(しかし、オバマ大統領はそうした法案に対して、拒否権の発動も辞さないことを表明し、牽制)。
2に関しては、S&Pの8月の米国債格下げは色々と非難されましたが、「結局その判断って正しかったんじゃん!」って感じで、Moody'sやFitchも追従して格下げることも有り得ます。そうなった場合、また為替・株式市場など、広範にわたる悪影響が懸念されます。

また、これとは直接的な関係はございませんが、オバマ大統領が9月に発表した、給与税(payroll tax)減税の延長を含む、景気・雇用対策も、与野党の対立から成立の目途が立たっておりません。
また、昨日はQ3GDPも2.5%⇒2%に下方改定されましたし、ちょっと米国も暗いニュースが相次いできました。
それを受けて、FTでこんな記事が。
Obama reopens debate on US stimulus
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/7a86a3bc-152e-11e1-b9b8-00144feabdc0.html#axzz1eRigpaZR

欧州不安・アラブの春・東日本大震災・米国債格下げなど、2011年は近年稀に見る激動の年でしたが、まだまだ一波乱ありそうですね(*´ω`*)
posted by あうあう at 16:33| Comment(0) | 経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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