2011年12月01日

[海外論調]東証と大証の合併

11月22日に正式発表された東証と大証の経営統合。
再来年1月をめどに行われるそうです。

日本のメディアは、
・地盤沈下する一方の日本の資本市場が、国際競争力を高める第一歩として期待したい。
・国内の現物株取引の9割以上を占める東証に対し、大証は株価指数先物などデリバティブ取引で優位に立ち、相互補完できることも統合のメリット。
などなど期待の声が中心。

一方、英エコノミスト誌(11/26号)は厳しい論調。

The merger does not address some of the fundamental problems holding back Japan’s markets. First is regulation. “Pedantic and inflexible” is how a large foreign investor describes it. Japan is preposterously strict over trifling matters but turns a blind eye to serious ones. “Non-material” uncertainties that on other bourses only have to be disclosed to shareholders can lead to listings being denied in Japan. “It raises the cost of capital−you’d have to be nuts to list in Japan,” the foreign investor says.

⇒ 日本の規制当局は、取るに足らないことに対しては厳しく、重要なこと(データの無い不確実性を株主に開示すること)には目をつぶっている。「気でも狂わない限り日本で上場しようとは思わない」とは、外国人投資家の談。

The boss of a large Asian fund ruefully admits that its Japan unit is incorporated in the Cayman Islands to escape the country’s punishing 40% tax rate. And the TSE lacks sophistication. For example, decimalisation does not exist. One cannot quote a price finer than ¥1, despite the fact that a filled order may have four decimal points on the price, says Pelham Smithers, a Japan stock analyst. With a stock such as Mizuho, a bank whose price is around ¥100, it means the bid/offer spread is 1%, which translates to an exorbitant $1m on a $100m order. “Big investors can’t take such a risk, so trade the stock away from the market,” sighs Mr Smithers.

⇒40%という懲罰的な法人実効税率で日本に立地するインセンティブ無し。株価が小数点以下表示されないので、国際的な取引慣行上、どこか垢抜けない。東証における、みずほ株(100円前後)のbid-askスプレッド(呼値)は1円なので、100億円みずほ株買ったら1億円吹っ飛ぶという馬鹿げた展開となる。

Merging the two exchanges does nothing to change this, nor to boost liquidity, eliminate red tape, increase the use of English or improve corporate governance.
...
Consolidation is no panacea. The two exchanges have been competitors as much as their cities have rivalled each other for centuries: integration of systems and cultures will be a nightmare.

⇒両取引所が合併したって、取引高が激増したり、お役所仕事が解消されたり、企業のコーポレート・ガバナンスが改善されるわけでもない。両取引所は100年もの間、競い合ってきたのだから、システムや文化を一緒にくっつけるのは、悪夢になるかもしれない(みずほ銀行みたいに)。


いやはや厳しいですね。。。
こうやって、海外から日本を眺めてみるのも、なかなか新鮮で良いもんです(・∀・)
posted by あうあう at 20:42| Comment(0) | 金融 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月08日

バーゼル委論文とFSA&BOJの反抗

昨年12月にDBJと東大が共催した 「金融システムはどこに向かうのか」というパネルディスカッションで、
金融庁の氷見野参事官が

「バーゼル委から『自己資本比率を1%上げると、金融危機の生起確率がどの程度減って、マクロ経済は全体としてこれだけ得する』みたいな論文が出て、どんどん規制強化的になりそうだったので、金融庁と日銀で慌てて軌道修正を図った。」

という旨のことをポロっと言っていて、「なんか興味深いな、いつか読もう」と思ったまま、3月になってしまった訳ですが、
本日、FSBのページでそれらしき論文を見つけて、点と線がスゥーッっと繋がった感じになって、非常に気分が良かったです。はい。

論文
"An assessment of the long-term economic impact of stronger capital and liquidity requirements"
http://www.financialstabilityboard.org/publications/r_100818a.pdf?frames=0

上記論文のTable8です(画像掲載)

bis.png

簡単に言ってしまうと、自己資本比率を○%にしたときの、金融危機回避のベネフィットと金融機関の貸出抑制等によるコストを比較衡量した、費用便益分析となっております。

例えば、下段の"Liquidity requirement met"(流動性比率規制を満たした場合のケース)を見ると、一番右の列から、金融危機のコストを対GDP158%と見積もった"large permanent effect"、19%と見積もった"no permanent effect"、63%とした"moderate permanent effect"となっており、中心的なシナリオは"moderate"ケースとなっています。

そして自己資本比率は、"large"のケースでは上げれば上げるほど良く(発散状態)、"moderate"は13%、"no"で9%が最適となります。
金融庁・日銀が軌道修正を図った結果が、まさにこの"moderate"(&"no")のケースの追加であると推測されましょう。

それにしても、バーゼルIIIは、非常に科学的というか計量経済学的な分析がかなり精緻にされていて、まあ今後の展開に期待という感じでございます。

ご参考
金融危機後のマクロ経済学 (加藤涼 日本銀行金融研究所企画役)
http://globe.asahi.com/worldeconmy/100906/01_01.html
posted by あうあう at 20:43| Comment(1) | 金融 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月28日

日本国債格下げ。しかし、、

ご案内のとおり、1月27日に格付会社S&P(スタンダード・アンド・プアーズ)は、日本の長期国債格付けを「AA」から「AA-」に格下げしました。キタワァ*・゜(n'∀')η *・゜
スタンダード&プアーズ - 日本のソブリン格付けを※「AA-」に格下げ、アウトルックは「安定的」
http://t.co/WariNun

格下げの理由として、政府債務残高対GDP比率の高さ、今後予想される大幅な財政赤字、長引くデフレによる債務問題の深刻化、民主党政権の債務問題への戦略欠如、などが挙げられています。

まあ、財政健全化待ったなしの風潮が形成されるのは良いことですが、マジレスすると、でっていう感が強かったり^^

理由1:以前はもっと格下げられてた

rating.png

Fitchなんか2002年中頃から今日まで、ずっとAA-格を維持しておりますし、Moody'sは今でさえAa2(AA相当)格を与えていますが、2002年〜2007年まではA格なんていう、今でいうアイルランド並の格付けを与えていた訳で、それに比べりゃ、平和ダナー(T∀T)と。
ステートメントでも、わが国の高水準の対外純資産残高、比較的強固な金融システム、多様化な産業構造、円の流動性など、「AA-」格で留まってるポジティブな理由が、いくらか挙げられております。

理由2:1年前に格下げは予告されていた
Outlook On Japan To Negative On Diminishing Economic Policy Flexibility
http://www.standardandpoors.com/ratings/articles/en/us/?assetID=1245205385913

まあ、そういう訳で、丁度1年前に格付けの見通し(outlook)は「Stable」から「Negative」に下方修正されており、
The outlook change reflects our view that the Japanese government's diminishing economic policy flexibility may lead to a downgrade unless measures can be taken to stem fiscal and deflationary pressures.
と、財政赤字と政府債務残高の増大、デフレ圧力等で経済政策の自由度が失われていることが述べられています。また、
The ratings on Japan could fall by one notch if economic data remain weak and measures to boost medium-term growth are not forthcoming, given the country's high government debt burden and its weak demographic profile.
「もし経済指標が弱含みしたままで、成長戦略が講じられなければ、格下げするよ」と予め予告しているのですが、面白いことに、政府が新成長戦略の実現に向けた基本方針である「成長戦略実現2011」なるものを閣議決定(1月25日)した矢先の格下げであったわけです^^

やはり、ねじれ国会(=政策遅滞の懸念が強まったこと)が理由に挙げられている以上、おそらく昨年の参院選の結果が出た時点で、格下げは既定路線だったのでしょう(´・ω・`)

理由3:長期金利と格付けの相関は殆ど無い

今回もあんまり長期金利は反応しなかったみたいだし、為替は当日こそ円安に動きましたが、今は落ち着いています。
やはり国債は、サブプライム商品なんかとは違って、買ってる人間が一番良く分かってる性質の金融商品であるため、格付けなんて気休め程度ってことですね(・w・)

野村證券のレポートより、過去の「格下げ」に対する「長期金利」のインパルス応答の図をご参考までに。

impulse.png

格下げで金利が上がることもあれば、むしろ低下したり、完全に無相関と見るべき予感(>▽<)b

おまけ

理由2で紹介したS&Pのステートメント、何気に面白いです。
アウトルック下方修正のRationaleでは、
the policies of the new Democratic Party of Japan (DPJ) government point to a
slower pace of fiscal consolidation than we had previously expected.
と、軽く民主党にジャブを食らわしつつ、
日本の信用を低下させる要因として、
the following factors suggest mounting pressure on Japan's credit quality:
(中略)
Policy shifts by the new government, elected in August 2009, appear to place greater emphasis on redistribution of wealth, in part reflecting coalition dynamics. As a result, although there is still a commitment by the government to public sector reform, we do not see a comprehensive plan to boost growth potential and hence government revenues in the medium term. That said, we do not believe that the broad thrust of macroeconomic management that has characterized Japan for half a century will change.


鳩山ェ・・・
posted by あうあう at 22:25| Comment(0) | 金融 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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