2011年12月22日

基礎年金国庫負担財源に交付国債

来年度の予算編成をめぐって、基礎年金国庫負担割合1/2維持財源が争点になるのは、昨年のデジャブを見ているようでした。
去年は「鉄運機構」なる独法の剰余金や、財投特会・外為特会から財源を転用して凌いだ訳ですが、今年はいよいよ“埋蔵金”が尽きて、さあどうしようという感じで、一悶着。

一時期は、「国庫負担割合を36.5%へ引き下げる」ことや、「将来の消費増税を償還財源とする“年金債”の発行」などが取り沙汰されましたが、結局は「交付国債」という形で決着することとなりました。

この交付国債、小宮山大臣をはじめとする厚労省側は、
「年金積立金を取り崩すものではない」
と主張しておりますが、さあどうなんでしょうかね。

頭を整理してみますと、GPIFから払い出した2.6兆円を基礎年金給付に充てて、その対価に「2.6兆円」+「カウンター・ファクチュアルな運用収益」が将来受け取れる国債を、GPIFが直接引き受けると。
それで、「GPIFは交付国債という金融商品に新たに投資したのだから、積立金は減っていない」というロジックになることはなるのですが、どうにも腑に落ちない・・・。

というのも、交付国債は、将来の増税を以って償還されることとなっているみたいですが、政局のモメ具合を見ていると、それって本当に担保されているのか怪しいですし、償還期間もどれぐらいになるのか全く見通せません(´・ω・`)
結局、最初に議論されていた「年金債」と何が違うのか全くわからんです。
しかも、この理屈で行けば、積立金を一切減らすことなく、100兆円規模の埋蔵金を年金給付に活用できるってことになりませんかね・・・。

いずれにせよ、財源がない中で基礎年金の50%国庫負担を維持するってなったら、将来の増税をアテにするしか無い訳で、まあ今回の予算編成を見ていても、「新規国債発行額上限=44兆円」を守るためのテクニカルな財政的偽装が行われた印象は免れません(´;ω;`)
posted by あうあう at 21:33| Comment(0) | 財政 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月17日

明示的財政ルールの実効性

今回は久しぶりに財政ネタ(`・ω・´)

わが国では昨年、「財政運営戦略」ちゅーのが策定されて、
中期財政フレームとして、一般歳出やら新規国債発行額に上限を設けた訳ですが、(この日のエントリー参照
今般の3月11日の地震により、中期財政フレームは一瞬で崩壊した訳でございます。

※4兆円規模の財政出動を行う第一次補正予算は、予算の組み替えで対応できたため、新規国債発行は免れた訳ですが、第2次は10兆円規模!?と予想されており、補正後の2011年度予算における国債発行額は前年度の44兆円を大幅に上回る見通しでございます。

そんな訳で、こんないとも簡単にbreachされちゃう財政フレームにコミットすることって、意味あんの?!っていう問題意識に答える良質な研究を紹介します:*・゜(n'∀')η *・゜続きを読む
posted by あうあう at 00:14| Comment(0) | 財政 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月18日

税制に関するメモ

英国のオズボーン大蔵大臣(the chancellor of the exchequer)が2期目の財政演説を来週行う予定。
ご案内のとおり、彼の地では、付加価値税(VAT)を20%に上げてインフレ率が4%に達しておりますが、免税対象の食料品がいろいろあったり、税体系が非常に複雑怪奇でございます。

96年にノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・マーリーズは、good tax systemの条件を3つ挙げております。
・it should be progressive
・it should not bias choices over how much to work or what to consume
・it should be simple

そして英国のVATは、上述のとおり、大半の食料や書籍、子供服に課税されないのですが、これが2番目(加えて3番目)の条件にマッチしていない。
つまり、例えば食料でも、課税されるものとそうでないものとの間で、相対価格の歪み生じるため、家計の消費行動を歪めてしまう(価格のシグナル効果が崩れるため、経済活動における正しい意思決定が阻害される)。

では、どうしたら良いかと言えば、変な免税品はやめて一律課税。
そうすれば税収が増えるので、低所得者への直接補助をやる。すると、低所得者の予算制約が緩むので、変な免税品があったころよりも消費できる選択肢が増えて効用upと。
うーむ。

日本の消費税上げ論議でも、必需品は低率にすれば良いんじゃないかという議論がありましたが、
その必需品が一体何であるかは、消費者が決めることで、国が決めること自体、経済学的に違和感がとても強い(また、時代によっても少しずつ変わるだろう)。
やはり、納税者番号制度をインフラとして早期に整備して、正確な所得捕捉を行い、その上で直接補助を行うのが正統的な再分配政策だと思います。
そういう意味では、給付付き税額控除、ベーシックインカム、あるいは負の所得税と呼ばれる一連のアイディアの導入も、大いに検討に値するでしょう(`・ω・´)

(参考文献)
The Economist(Mar 17th 2011)"Osborne's chance"
鈴木亘 "社会保障の「不都合な真実」"
posted by あうあう at 23:57| Comment(0) | 財政 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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