2011年12月31日

2011年の総括と2012年の展望

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ご高承の通り、2011年の出来事を並べてみますと、
アラブの春、東日本大震災、原発事故、ビン・ラディン殺害、米国債格下げ、欧州債務問題の拡大、TPP交渉参加表明、金正日死去など色々ありました。
言うまでもなく、この間、わが国を取り巻く状況は、一段と厳しさを増しております。
未だ収束の兆しの見えない欧州債務問題は、為替レートという経路を通じて、震災からの復興を目指す日本経済に、暗い影を落としております。また同時に、この問題によって、
「債務問題は対岸の火事ではない」
ということが、わが国でも意識され始めており、
現に、近頃の新聞・週刊誌等々で、日本の財政破綻の特集記事がクローズアップされております。

そう考えると、やはり来年の話題は、日本の債務問題をどうするのかということに尽きるのではないでしょうか。

つい先日、一体改革・素案(PDF)が与党内でまとまったのは良かったと思います。
ただし、「消費税率を2014年4月に8%、15年10月に10%に引き上げ」というのは、やや緩慢なスケジュール感であり、財政運営戦略における「財政健全化目標(PB赤字を2015年に半減、2020年に黒字化)」が、果たして実現できるのかは極めて不透明であります。

金融危機を800年という時間のスパンで俯瞰すれば、日本が仮にこれから数年内に財政破綻するとしても、世界史的には何ら不思議はなく、
財政破綻論者が狼少年扱いされているのは、みんなが戦後の66年間というスパンで物事を考えているからではないでしょうか。
自分たちや、親の世代が未だ経験したことのない経済・社会にこれから突入するのだから、長い歴史の視座を持つ必要があると存じます。

そんな訳で、詰まるところ、2012年のホット・イシューは、財政健全化になるのではないかと確信しております。

以下は個人的な抱負。
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posted by あうあう at 15:34| Comment(3) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月27日

税と社会保障の抜本改革

税と社会保障の抜本改革 [単行本] / 西沢 和彦 (著); 日本経済新聞出版社 (刊)

2011年、僕が勧める経済書ナンバー・ワンです。
今まさに、「一体改革素案」の年内とりまとめに向け、政府・与党が動いており、
このタイミングでこの本を読めたのはまさに時宜を得たものでありました。
(本稿、post時点では越年の可能性あり)。

1ページ1ページが本当に勉強になって、
やっぱり、もっとこういう本を積極的に読まなきゃいけないんだなと思った1冊でした(*´ω`*)

SNAで見た、一般政府(中央政府・地方政府・社会保障基金政府)間の所得移転の概況から始まり、
日本の消費税・個人所得課税の仕組み・構造・課題も非常によーく分かりましたし、
年金財政・制度、医療保険制度、子ども手当、給付付き税額控除についても、すごく勉強になりました。

やはり社会保障制度について語る前にですね、個人所得課税における「収入」と「所得」の違いや、
「経費控除」「所得控除」「税額控除」それぞれの段階の違いをちゃんと頭の中に入れて置かないと、
「一体改革」の議論には参加できないだろうと。これはとても重要な出発点です。

それで、僕は今まで勘違いをしていたのですが、
「社会保障・税一体改革」の「一体改革」とは、
「社会保障費削減と増税を一体で行うことで、財政赤字を減らす改革」
という矮小な話ではない(結果的にそうなるとしても)。
それが真に意図するものは、
「社会保険料と税の役割の再構築」

ではないでしょうか。

つまり、社会保険料は、本来、受益と負担のリンクを身上としている。
一方で、税の論理は、所得再分配にあります。

しかし、被用者保険制度からの基礎年金拠出や、高齢者医療制度への所得移転、さらには国費投入によって、社会保険料と税の役割がごっちゃとなってしまい、制度全体におけるキャッシュ・フローも複雑怪奇なものとなっているのが現状であります。
国民の負担受け入れが進まない原因には、そういう理由も大きいのではないでしょうか。

再分配は税でやるべきという原点に立ち返れば、給付付き税額控除の導入こそが、「一体改革」の一丁目一番地の施策であると存じます。
例えば、国民健康保険における保険料負担を、従来のような所得控除ではなく、給付付き税額控除という形で適用するとともに、国保における国庫負担を漸次縮小することで、政府部門間所得移転(中央政府→社会保障基金政府)を、中央政府→家計への直接移転に改めることができます。
こうすることで、キャッシュ・フローが明確となり、税の論理が活きてくる上に、相対的貧困率の改善に対しても大きな効果が期待できます。

もちろん、給付付き税額控除の導入にあたっては、番号制度の導入のみならず、国税庁と市町村の税務行政の統合が、低所得層も含めた所得情報の正確かつ一元的な把握と管理に向けて不可欠となります(国税庁と日本年金機構の統合という、従前の歳入庁構想では不十分)。

繰り返しになりますが、「一体改革」とは、これらの制度全体を抜本的に改めるものであり、
「社会保障給付下げ、税率引き上げ」以上の、重要なインプリケーションを持つ改革であると言えましょう(`・ω・´)


以下は個人的な感想ですが、一体改革において、世代間対立をいたずらに煽るのも多分良くなくて、
政府自らが身を切るべきところ(公務員人件費、議員定数等)は切っていかないと、世論的に増税なんてできないでしょうし、
現役世代についても、給与所得控除の見直しなど、消費増税以外の財源捻出プロセスは、まだございます。
もちろん消費増税は不可避ですが、社会保障制度・税制全体をぐるっと見回してみないことには、真の改革というのは道遠しなのだなあと、自戒を込めて思った次第です(*´∀`*)
posted by あうあう at 20:29| Comment(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月25日

2011年ベスト経済図書

今年も、日経新聞「エコノミストが選ぶ経済図書ベスト10 」が発表された。
結果は以下のとおり。

tosho2011.jpg

栄えある一位は、
ラインハート&ロゴフの「国家は破綻する」。
まさに貫禄のランクイン。2位とのスコアも圧倒的ですね。
原題の“This Time is Different”というのも、本当に示唆的な言葉で、
昨今の中国不動産バブルや、日本国債バブルも、この一言で正当化されそうな風潮があり、
非常に危惧を抱いております。

他に読んだことがあるのは、
ラジャン「フォールト・ラインズ」
翁邦雄「ポスト・マネタリズムの金融政策」

ぐらいで、今年の読書不足を痛感しました。

個人的には、
佐々木融「弱い日本の強い円」や、
西沢和彦「税と社会保障の抜本改革」
もランクインして良いと思ったのですがね。

昨年の結果に比べると、新書は姿を消し、レベルが上がったのではないかと感じます。

フォールト・ラインズは、邦訳が酷過ぎるだけで内容は素晴らしいので、
訳者さえ真っ当なら2位につけた気はしますね。

昨日、スカイプで色々友人と話して思ったのですが、
Twitterのようなソーシャルメディアの普及によって、経済学者の社会的な影響力は、これからどんどん増していくのではないかと思いました。
大企業・団体が社会に影響力を持つというこれまでの構図はもちろん変わらないと思いますが、
ソフトパワーを持つ個人が、徐々に社会に影響を及ぼしていくようになる。

例えば、もう既に賞味期限が切れた感がありますが、孫正義が「脱原発」をTwitterで唱えただけで、
フォロワーが、クワーッと同調する不気味な社会現象も起こりましたし、
(とはいえ、孫氏はTwitterを活用し、地下鉄に電波が入る動きを作ったので、その点は評価)
そういう意味で、真っ当な経済学者を色々フォローしておくのは、良いのではないかと思います。

ただ、理論・思考の体系が背景にないと、断片的な知識・アイデアの寄せ集めになるのも否めません。
やはり、読書は大切です。
posted by あうあう at 09:39| Comment(0) | 経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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